Uターンして地方でPMを続ける方法
- Uターンは必ずしもキャリアダウンではなく、フルリモート求人や地方DX案件を選べばPMを継続できる。
- Uターン後の選択肢は、単独でプロジェクトを回せる経験を積んでから動くほど広がる。
- 地元に求人がなくても、全国区のフルリモート企業への応募という選択肢がある。
「地元に戻ったら、PMのキャリアは終わりだと思っていました」——ある方が面談でそう話してくれたことがあります。しかしその方は結果的に、地元に戻ってからもPMとしてキャリアを積み続けています。
皆さま、Uターンと聞いて、キャリアを一段落させる決断のように感じていませんか。率直に言うと、それは数年前までの前提であって、今は必ずしもそうではありません。
0. なぜ「Uターン=キャリアダウン」は思い込みなのか
この思い込みが生まれた背景には、地元にPM求人がほとんどなかった時代の記憶があります。数年前まで、地方には確かにPM職の求人自体が少なく、Uターンすれば異業種への転身や職種変更を余儀なくされるケースが多くありました。しかしフルリモートPM求人の定着と地方DX案件の増加によって、この前提は崩れつつあります。ここが今回の隠れた主役です。
1. Uターン後もPMを続ける2つの道
Uターン後にPMのキャリアを継続する道は、大きく2つあります。一つは、首都圏や全国区の企業のフルリモート求人に、地元に住んだまま応募する道です。もう一つは、地元企業や地方の中小企業のDX案件に、PMとして参画する道です。この2つは性質が大きく異なるため、どちらを選ぶかで準備すべきことも変わってきます。
1-1. フルリモート求人でキャリアを継続する道
この道を選ぶ場合、実質的には「勤務地」を変えるだけで、仕事の内容や評価の仕組みは大きく変わりません。ただし、地元企業のDX案件と違い、非同期でのマネジメント経験が強く問われることが多く、応募の際にはそれを言語化した実績が必要になります。
1-2. 地方DX案件で新しいキャリアを築く道
この道は、いわば「PM経験を地元の課題解決に使う」選択です。首都圏で培ったプロジェクトマネジメントの型を、地元企業の業務改善やシステム導入に応用します。地元の商習慣や人間関係への理解が強みになる一方、案件の規模や報酬は首都圏の求人より控えめになりやすい傾向があります。
2. Uターンのタイミングをどう考えるか
僕の面談での体感値になりますが、Uターンのタイミングは早すぎても遅すぎても難しさがあります。PM経験がまだ浅い段階でUターンすると、フルリモート求人でも地方DX案件でも選択肢が限られます。逆に、単独でプロジェクトを完遂できる経験を積んでからのUターンは、選択肢が大きく広がります。
本物のUターンの成功は、思っているよりずっと準備の段階で決まります。地元に戻ってから焦って求人を探すのではなく、戻る前から情報収集と実績づくりを始めておくことが重要です。
3. 地元にPM求人がないと感じたときの考え方
「地元にはPMの求人なんてない」と感じる方は多いですが、これは地元企業の求人だけを見ているケースがほとんどです。フルリモート求人であれば、勤務先の所在地は地元である必要がありません。地元にこだわらず、全国区の求人まで視野を広げることで、選択肢は大きく変わります。
4. Uターン準備として今日からできること
実務パートとして、Uターンを検討している方が今日からできることを紹介します。まず、これまでのPM経験のうち、非同期で完遂したプロジェクトを1つ選び、実績として言語化してみてください。次に、地元の主要企業のDX関連ニュースを、地方紙や商工会議所のサイトで検索し、案件の動向を把握してください。最後に、フルリモート求人を扱う人材紹介会社に、Uターン検討中であることを伝えて登録しておくと、地方在住者向けの求人情報を早めに得られます。所要時間の目安は1〜2時間です。
5. 家族の理解をどう得るか
Uターンは本人だけの決断で完結しないことがほとんどです。パートナーや子どもの学校、親の介護など、家族全体の事情が絡むケースが多く、僕の面談でもこの調整に時間をかける方は少なくありません。キャリアの選択肢だけでなく、生活面での変化についても、家族と早い段階から具体的に話し合っておくことが、後悔のないUターンにつながります。
5-1. 生活コストの変化も考慮する
年収の額面だけでなく、地元に戻った場合の生活コストの変化も含めて検討することをお勧めします。住居費や物価は地域によって差があり、額面の年収が下がったとしても、可処分所得ベースでは変わらない、あるいは向上するケースもあります。
5-2. 段階的なUターンという選択肢
いきなり完全に地元へ移り住むのではなく、まず二拠点ハイブリッドのような働き方から始めて、徐々に地元での生活比重を高めていくという段階的な移行も現実的な選択肢です。急がず様子を見ながら移行することで、リスクを抑えられます。
6. 実際にUターンした方の声から学べること
僕が面談してきた方の中には、Uターン後にフルリモートで首都圏の企業に勤め続けている方もいれば、地元企業のDX案件に転身した方もいます。両者に共通していたのは、Uターンを決断する前に、自分のPM経験を客観的に棚卸しし、「首都圏でなくても通用する強み」を明確に言語化していたことです。逆に、準備が不十分なままUターンした方は、地元での選択肢の少なさに直面し、キャリアの停滞を感じているケースも見てきました。
この違いを分けているのは、Uターンそのものの是非ではなく、事前準備の有無だと僕は考えています。地元に戻ってから焦って動き出すのではなく、戻る前の段階で、フルリモート求人への応募や地方DX案件の情報収集を並行して進めておくことが、結果的にスムーズな移行につながります。
6-1. 戻る前にできる情報収集
地元の商工会議所や自治体が主催するDX関連のセミナー・勉強会に、遠隔からでも参加できるものがないか探してみてください。地元の企業動向を早い段階で掴む手がかりになります。
6-2. 焦って決めないことの大切さ
Uターンは人生の大きな決断です。1つの企業や案件の情報だけで即決せず、複数の選択肢を比較しながら、納得のいくタイミングで動くことをお勧めします。
7. Uターンを後押しする社会的な流れ
自治体によるUターン支援施策や移住支援金など、Uターンを後押しする社会的な仕組みも各地で整備されつつあります。これらの制度は年度や地域によって内容が変わるため本記事では詳細な金額には触れませんが、検討している方は移住先の自治体の窓口やサイトで最新の支援策を確認しておくことをお勧めします。こうした後押しの存在も、Uターンという選択肢を現実的にしている一因だと僕は考えています。金銭的な支援だけでなく、Uターン人材同士のコミュニティを自治体や地域団体が主催しているケースもあり、こうした場に参加することで、同じような決断をした人たちの生の声を聞ける機会が得られます。孤独に情報収集を進めるよりも、同じ立場の人とつながることで、不安を軽くしながら準備を進められるはずです。僕自身、面談の中でこうしたコミュニティの存在を知って背中を押された、という声を何度も聞いてきました。Uターンという決断は、キャリアの問題であると同時に、生き方の問題でもあります。だからこそ、求人情報だけを眺めて悩むのではなく、実際にその道を歩んだ人の声に触れながら、自分と家族にとっての最適解を探していく。その過程そのものが、後悔のない決断につながっていくのだと思います。
(結論)Uターンは、選択肢を狭めない
誤解がないように申し上げると、Uターン後のキャリア形成が何もせずに簡単に進むわけではありません。ですが、フルリモート求人と地方DX案件という2つの道が存在する今、Uターンは必ずしもキャリアダウンを意味しません。地元に戻る決断をキャリアの終着点ではなく、新しい働き方の始まりとして捉え直してみてください。
よくある質問
Q. Uターン転職でPMのキャリアは途切れますか?
フルリモート求人や地方DX案件を選べば、途切れずに継続できる可能性があります。ただし選択肢は首都圏在住時より狭まるため、事前の情報収集と準備期間が重要です。
Q. Uターンのタイミングはいつが良いですか?
PMとして単独でプロジェクトを回せる経験を積んでからの方が、フルリモート求人や地方DX案件での選択肢が広がります。経験が浅い段階でのUターンは、求人の幅が狭くなるリスクがあります。
Q. Uターン先の地元にPM求人がない場合はどうすればいいですか?
地元企業の求人にこだわらず、フルリモートで働ける首都圏・全国区の企業に応募する選択肢があります。地元の求人が少ないことは、必ずしもUターンを諦める理由にはなりません。
IT人材業界20年、ギークリー創業を経て現職。個人として通算4,200名のキャリア面談を実施してきた経験に基づき監修しています。本文中の年収・難易度等は独自ガイドの目安値であり、個人の経験・企業により変動します。