年収相場2026.07.08監修:山根一城(株式会社ポテンシャライト)

地方在住PM×年収相場のリアル

この記事の要点

「地方に住んでいるので、年収は下がりますよね」——面談でこう切り出す方は少なくありません。しかし僕の体感値では、この前提は今ではかなり崩れてきています。

皆さま、年収は「住んでいる場所」で決まると思っていませんか。率直に言うと、これは企業によって答えが大きく分かれる問いです。地域給与テーブルを持つ企業もあれば、職務内容だけで給与を決める企業も増えています。

0. なぜ「地域差」が縮まってきているのか

この背景には、フルリモートを前提とした採用競争があります。優秀なPM人材を居住地に関係なく採用したい企業は、地域による給与差を設けると、地方在住の優秀な人材を逃すリスクを負います。結果として、職務内容・経験・スキルだけで給与を決める「職務給」を採用する企業が増えてきました。ここが今回の隠れた主役です。

1. 職務給企業と地域給企業の違い

職務給を採用する企業では、東京在住でも地方在住でも、同じ職務・同じ成果であれば給与は変わりません。一方、いまだに一定数存在する地域給企業では、拠点のある都市の給与水準に応じて基本給が調整される仕組みが残っています。地方在住PMにとって、この2種類の企業のどちらに応募しているかを事前に把握しておくことが、年収交渉の前提として重要です。

本物の職務給企業は、思っているよりずっと明確にその方針を公開しています。給与テーブルや評価制度をオープンにしている企業ほど、職務給の運用が徹底されている傾向があると僕は見ています。

2. 地方DX案件の報酬水準

地方企業のDX案件に関しては、また別の視点が必要です。首都圏の大企業のDXプロジェクトと比べると、案件単体の予算規模が小さくなりやすく、平均的な報酬水準は控えめになる傾向があります。これは僕の面談での体感値であり、正確な統計値ではありませんが、地方の中小企業がいきなり大型のIT投資予算を組むケースは限られるためです。

一方で、地方には案件を回せるPM人材が絶対的に不足しているため、複数案件を掛け持ちする形で報酬を積み上げる働き方や、専門性の高い領域(製造業DX、医療・介護DXなど)に特化することで、単価を上げる余地はあります。

2-1. 単発案件と正社員雇用の違い

地方DX案件には、正社員として1社に所属する形と、業務委託として複数案件を掛け持つ形があります。業務委託は案件単価の交渉余地がある分、収入の変動リスクも大きくなります。自分がどちらの働き方に向いているかを見極めることが、年収戦略の第一歩です。

2-2. 専門領域による差

製造業DX、医療・介護DX、農業DXなど、業界特有の専門知識を持つPMは、その希少性から単価が上がりやすい傾向があります。汎用的なPMスキルだけでなく、特定業界への理解を掛け合わせることが、地方DX案件での年収アップの近道です。

3. 年収を上げるために何をすべきか

年収を左右する最大の要因は、実は在住地そのものではなく、自分のPM経験をどう言語化できているかです。非同期でプロジェクトを完遂した実績、地方DX特有の現場との調整力、これらを具体的なエピソードと数字で語れるかどうかが、職務給企業での評価やDX案件での単価交渉に直結します。

4. 今日からできる年収戦略の準備

実務パートとして、今日からできる準備を紹介します。まず志望企業の給与制度が職務給か地域給かを、採用ページや口コミサイトで確認してください。次に、自分のPM経験のうち、非同期で完遂したプロジェクトを1つ選び、規模・期間・成果を数字で書き出してみてください。最後に、地方DX案件であれば自分が強みを持てる業界領域を一つ言語化しておきましょう。所要時間の目安は1時間程度です。

5. 年収交渉で気をつけたいこと

年収交渉の場面では、地方在住であることを引け目に感じて、条件を控えめに提示してしまう方を僕は何人も見てきました。しかし、職務給を採用する企業であれば、在住地は交渉材料にすらならないというのが正しい理解です。むしろ交渉の軸に置くべきは、自分がその職務にどれだけの価値を提供できるかという一点です。

5-1. 相場観を持たずに交渉しない

年収交渉では、自分の希望額だけでなく、その職務・経験レベルにおける市場相場をある程度把握した上で臨むことが重要です。相場観がないまま交渉すると、過小評価も過大な要求も起こりやすくなります。

5-2. 複数の選択肢を持っておく

1社だけの選考を進めていると、どうしても条件面で強気に出づらくなります。複数の求人や案件に同時並行で応募しておくことで、交渉における心理的な余裕が生まれ、結果として納得のいく条件を引き出しやすくなります。

6. 年収以外の報酬をどう捉えるか

年収の数字だけに注目しがちですが、地方在住のまま働くという選択には、年収以外の報酬も含めて評価する視点が必要だと僕は考えています。通勤時間の削減、住居費の抑制、家族との時間の確保といった要素は、直接的な金額には表れませんが、実質的な生活の豊かさに直結します。

僕の面談での体感値になりますが、額面の年収が首都圏在住時より多少下がったとしても、可処分所得や生活満足度のトータルで見れば向上したと感じている方は少なくありません。年収だけを単一の指標にせず、自分にとっての「総合的な報酬」を定義してみることをお勧めします。

6-1. 通勤時間を金額換算してみる

仮に首都圏で片道1時間の通勤をしていた場合、年間で換算すると膨大な時間になります。この時間を時給換算してみると、地方在住によって得られる時間的余裕の価値が具体的に見えてきます。

6-2. 交渉材料としての柔軟性

年収そのものの交渉が難しい場合でも、リモートワークの継続や、フレックスタイムの柔軟な運用など、金銭以外の条件面での交渉を試みる余地があることも覚えておいてください。

7. 独自ガイドの目安値についての注意

本記事で触れてきた年収水準や報酬の傾向は、あくまで僕がこれまでの面談で得てきた体感値に基づく独自の目安であり、公的な統計調査の数値ではありません。実際の年収は、企業の規模、業界、個人の経験年数やスキルによって大きく変動します。年収の目安を参考にしつつも、最終的には個々の求人・案件ごとの条件を丁寧に確認する姿勢を持ってください。転職エージェントや人材紹介会社は、非公開求人も含めた実際の年収レンジの情報を持っていることが多く、独自に情報収集するよりも精度の高い相場観を得られることがあります。年収交渉に不安がある方ほど、こうした第三者のサポートを積極的に活用することをお勧めします。自分一人で交渉するより、第三者を介した方が冷静に条件を詰められることも多く、遠慮せず頼ってよい場面だと僕は考えています。また、年収は一度決まったら終わりではありません。入社後の評価サイクルの中で見直されていくものですから、入社時点の金額だけにこだわりすぎず、その企業の昇給・評価の仕組みが自分の成果を正当に反映してくれるものかどうか、という長期的な視点も併せて持っておいてください。目先の数十万円の差よりも、3年後・5年後に自分の市場価値がどこまで育つ環境かの方が、生涯年収への影響ははるかに大きいからです。

(結論)年収は、在住地でなく言語化力で決まる

誤解がないように申し上げると、地域による年収差が完全になくなったわけではありません。ですが、その差は縮まりつつあり、しかも自分自身の言語化力によって埋められる部分が大きくなっています。地方在住であることを理由に年収交渉を諦めるのではなく、まず自分の経験を職務給企業の評価軸に合わせて語り直すことから始めてみてください。

よくある質問

Q. 地方在住だと年収は下がりますか?

職務給を採用するフルリモート企業では在住地による差を設けないケースが増えており、必ずしも下がるとは限りません。ただし地域限定の給与テーブルを持つ企業では在住地の影響が残ります。企業ごとの制度確認が必須です。

Q. 地方DX案件のPM報酬は首都圏より低いですか?

案件規模が首都圏の大型プロジェクトより小さくなりやすいため、平均としては低めになる傾向があります。ただし専門性の高い案件や複数案件を掛け持つ体制では、その限りではありません。

Q. 年収を上げるために地方在住PMがまずやるべきことは?

自分のPM経験を非同期マネジメントの実績として言語化し、職務給を採用する企業への転職市場価値を高めることです。あわせて地方DX案件特有の調整力を実績として提示することも有効です。

監修:山根 一城(株式会社ポテンシャライト 代表)

IT人材業界20年、ギークリー創業を経て現職。個人として通算4,200名のキャリア面談を実施してきた経験に基づき監修しています。本文中の年収・難易度等は独自ガイドの目安値であり、個人の経験・企業により変動します。

この記事を、eBookで持ち帰る。 本記事をスライド形式のPDF(16:9・全14ページ)に再構成しました。お名前とメールのご登録だけで、その場でダウンロードできます。
無料でPDFを受け取る →

まだ移住するか迷っている段階でいい

診断と記事で自分の現在地を掴んだら、地方在住のまま探せるPM求人について個別に相談できます。

適性診断をやってみる → キャリア面談をする →

あわせて読む

🎬 動画で学ぶ面接対策(無料)

9割の人が勘違い。面接は課題解決の場である 「9割の人が勘違い。面接は課題解決の場である」ほか、面接官の評価軸・自己PRの伝え方をプロが動画で解説。動画講座を見る →

仕事のモヤモヤ、AIに話してみませんか

転職するかどうかは、あとで決めて構いません。
「キャリアのたね」は、対話しながら引っかかりを整理して、あなたの強みを言葉にしていくサービスです。

話しはじめてみる(無料)

登録不要・無料。求人の紹介から始めることはしません。運営:ポテンシャライト