働き方2026-07-28監修:山根一城(株式会社ポテンシャライト)

地方在住PMの副業・複業入門:両立の時間術と単価相場の目安

この記事の要点

「山根さん、地方に住みながら副業までやるのは、さすがに体力的にきついですよね」——先日、地方在住PMの方からオンライン相談でそう聞かれました。

結論から言うと、体力の問題よりも先に「時間の設計図」を描けるかどうかで、副業がうまくいくかどうかは大きく変わってくると僕は考えています。地方在住PMの場合、都市部に比べて通勤時間が短い、あるいは在宅勤務が中心という方も多く、その分の時間を副業に充てられる余地は確かにあります。ただし、行き当たりばったりで始めてしまうと、本業にも副業にも中途半端になってしまうケースを何度か見てきました。この記事では、僕自身の経験も交えながら、副業の始め方・両立のための時間術・単価相場の目安・つまずきやすいポイントについて、順を追ってお話ししていきます。

0. 結論:副業は「時間の設計図」を先に描けるかどうかで決まる

先に結論部分を少し補足しておきます。僕がこれまで地方在住PMの方の副業相談を受けてきた中で感じているのは、「スキルがあるかどうか」よりも「先に週の時間割を決められるかどうか」の方が、継続できるかどうかを左右する要素として大きいという点です。副業は始めた瞬間から本業と並走することになるため、後から時間を作ろうとしても、たいてい本業の繁忙期や急な打ち合わせに押し出されてしまいます。だからこそ、案件を受ける前に「自分は週に何時間、いつ副業に充てられるのか」を先に決めてしまうことを、僕はいつもおすすめしています。逆に言えば、この設計図さえ描けていれば、地方在住であることは副業のハードルにはならないというのが僕の実感です。

1. なぜ今、地方在住PMに副業の相談が増えているのか

ここ数年、地方企業のDX案件の発注が増え、地方在住のままPMとして働ける求人自体も増えてきました。それに伴って、「本業は正社員のPMとして落ち着いたけれど、経験を活かしてもう少し稼ぎたい」「別の業界のプロダクトにも関わってみたい」という相談を受ける機会が僕自身も増えています。体感値としては、相談に来られる方の多くは30代後半から40代で、本業のPM経験が3年以上ある方が中心です。理由は単純で、副業として求められるPMの仕事は基本的に「即戦力」であることが前提になるため、経験の浅い方には案件そのものが回ってきにくいという事情があるからだと考えています。加えて、地方企業側にも「都市部の即戦力PMを正社員で採用するのは難しいが、月数十時間なら副業で関わってもらいたい」というニーズが増えており、この需給の一致が相談増加の背景にあると僕は見ています。

2. 副業の形は大きく3パターンに分かれる

地方在住PMが受けられる副業は、僕が見てきた範囲では、おおよそ次の3パターンに整理できます。稼働時間や単価の目安、向いているPMのタイプが異なるので、まずは自分がどのパターンに当てはまりそうか、イメージを持ってから案件を探し始めるのがおすすめです。

パターン稼働時間の目安単価の目安向いている人
スポット相談・壁打ち月2〜5時間1時間1万円前後特定領域の経験が深い人
業務委託型PM(進行管理・要件定義の一部)月10〜20時間月5万〜15万円時間の融通が利きやすい人
メンタリング・執筆・登壇月3〜8時間1件1万〜5万円言語化・発信が得意な人

ここで挙げた単価はあくまで僕の体感値であり、案件の難易度や関わる工程の範囲(要件定義から入るのか、進行管理のみなのか)によって大きく上下します。特に業務委託型PMは、稼働時間の見積もりが甘いまま契約すると、実際には想定の1.5倍近く時間を取られてしまうことがあるので、最初の1〜2ヶ月は少し余裕を持った時間設定で受けることを僕は勧めています。

3. 僕が実践している両立の時間術(最初の30日の動き方)

正直に話すと、僕自身も副業を始めた最初の数ヶ月は、隙間時間だけで進めようとして失敗しました。平日の夜、本業の仕事が終わってから「さあやるか」と机に向かっても、頭が働かず、結局深夜まで時間だけが過ぎていくということが続いたのです。そこで途中からやり方を変えて、週の予定表に副業の枠をあらかじめブロックする方式にしました。具体的には、平日は火曜と木曜の夜19時〜21時の2時間、土曜の午前9時〜12時の3時間を「副業タイム」として先に確保し、それ以外の時間には副業の予定を入れないというルールにしています。最初の30日でやったことを振り返ると、1週目は稼働枠の確保と本業スケジュールとの突き合わせ、2週目は案件相手とのコミュニケーション頻度の擦り合わせ(僕の場合は週1回30分の定例だけに絞りました)、3〜4週目でようやく実務のペースが掴めてくる、という流れでした。焦って初月からフル稼働の案件を受けると、この調整期間が取れずに息切れしやすいというのが僕の実感です。さらに付け加えると、副業タイムの前後には必ず15分の「切り替え時間」を挟むようにしています。本業の頭のまま副業の資料に向かうと、思考の質が下がってミスが増えることを何度か経験したため、コーヒーを淹れる、軽く散歩するといった小さな儀式を挟むだけでも、集中力の戻りが違うと感じています。

4. 単価相場の目安と本業年収との関係

副業の単価がどのくらい本業の年収に上乗せされるのかは、地方在住PMの方からよく聞かれる質問です。僕の体感値で言うと、業務委託型PMの副業を月10〜20時間程度続けた場合、年間で本業年収の1〜2割程度の上乗せになるケースが多いという印象を持っています。ただしこれは、あくまで僕がこれまで相談を受けてきた方々や案件情報から見た体感の範囲であり、公的な統計データではありません。案件の単価は、関わる工程の広さ(戦略設計まで踏み込むのか、進行管理だけなのか)や、業界特有の専門知識が必要かどうかによっても大きく変わるため、まずは自分の得意領域に近い案件を複数見比べて、相場感を掴むことから始めるのがよいと思います。参考までに、スポット相談型を中心に月5時間程度だけ動いている方の場合は、年収への上乗せは数万円〜十数万円程度にとどまることが多く、収入面での効果よりも「別業界に触れる経験値」を目的にしている方が多い印象です。

5. ケース比較:受けてよかった案件と、後悔した案件

これまで相談を受けてきた中から、傾向として典型的な2つのケースを組み合わせた例で紹介します。まず「受けてよかった」と感じてもらえたケースは、本業と業界が離れているが工程の役割は近い案件を選んだパターンです。本業では地場の製造業向けDXの進行管理をしている方が、副業では別業界のスタートアップの要件定義フェーズだけを月8時間ほど手伝う形にしたところ、本業の情報と混同するリスクが低く、かつ「進行管理」という得意な工程だけに絞れたことで負荷も想定内に収まりました。一方で「後悔した」と振り返られたケースは、稼働時間の見積もりが甘いまま、月10時間の契約で戦略設計から実装調整まで幅広く関わる案件を受けてしまったパターンです。ふたを開けてみると、クライアント側の意思決定が遅く、待ち時間を含めた実質稼働が月20時間近くに膨らみ、本業の繁忙期と重なって数週間、睡眠時間を削って対応することになったそうです。この2つの違いを分けたのは、契約前に「どこまでの工程を、どのくらいの時間で」を具体的にすり合わせていたかどうかだったと僕は見ています。

6. つまずきやすいポイントと対処法

副業を始めた地方在住PMの方が、よくつまずくポイントも共有しておきます。一つ目は、本業の就業規則の確認不足です。厚生労働省は2018年に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定し、企業側にも副業を認める方向性を示していますが、実際に届出制や許可制を取っている企業はまだ多く、確認しないまま始めてしまうとトラブルの元になります。二つ目は、契約書の競業避止条項です。以前、僕が相談を受けたケースでは、本業と近い業界の副業案件を受けてしまい、後から本業側の契約書に定められた競業避止条項に抵触しかねないと指摘され、案件を途中で降りざるを得なくなったことがありました。契約書を交わす前に、本業側の契約内容と照らし合わせておくことを、僕は強くおすすめしています。三つ目は、情報の取り扱いです。本業と副業で似たような業界を扱っている場合、無意識のうちに情報を混同してしまうリスクがあるため、資料やメモは案件ごとに分けて管理することをおすすめします。四つ目は、稼働見積もりの甘さです。契約時点で「月10時間程度」と合意していても、実際にはミーティングの前後準備や資料作成の時間が乗ってきて、蓋を開けたら15時間を超えていたという相談も少なくありません。契約前に、稼働時間に含まれる作業範囲(会議参加だけか、資料作成も含むか)をすり合わせておくことで、この手のズレはかなり防げると僕は考えています。五つ目は、確定申告の準備不足です。副業の所得が年間20万円を超える場合は原則として確定申告が必要になるため、案件を受け始めた時点で経費や請求書を記録する習慣をつけておくと、年度末に慌てずに済みます。

(結論)

ここまで、地方在住PMの副業について、始まる背景から時間術、単価相場の目安、ケース比較、つまずきやすいポイントまでお話ししてきました。副業は、地方に住みながらPMとしての経験を広げ、収入の選択肢を増やせる手段の一つだと僕は考えています。ただし、体力や気合いだけで乗り切ろうとすると、どこかで本業か副業のどちらかにしわ寄せがいってしまいます。まずは案件を探す前に、自分が週に何時間、いつ副業に充てられるのかという「時間の設計図」を描いてみてください。そこから逆算して案件の規模を選ぶだけで、両立のしやすさはかなり変わってくるはずです。皆さんいかがでしたでしょうか。地方に住みながらでも、働き方の選択肢は着実に広がってきています。では今日もがんばりましょう。

よくある質問

Q. 地方在住PMが副業をする場合、本業の会社に許可は必要ですか?

多くの企業が就業規則で副業を届出制または許可制としているため、まず就業規則を確認するのが結論です。厚生労働省は2018年に副業・兼業の促進に関するガイドラインを策定し企業に開示を促していますが、実際の運用は企業ごとに差があるため、人事に直接確認することをおすすめします。

Q. 地方在住PMの副業の単価相場はどれくらいですか?

結論として、スポット相談は1時間あたり1万円前後、業務委託型PMは月10〜20時間稼働で月5万〜15万円程度が僕の体感値での目安です。案件の難易度や関わる工程(要件定義か進行管理のみか)によって幅があるため、まずは近い条件の案件情報を複数比較することをおすすめします。

Q. 副業と本業の時間はどう配分すればいいですか?

結論は、平日は1〜2時間・週末に3〜4時間程度の枠を先に固定してしまうことです。僕自身、最初の数ヶ月は隙間時間頼みで進めて疲弊した経験があり、以降は週の予定表に副業枠をあらかじめブロックする方式に変えたところ、本業への支障なく継続できるようになりました。

監修:山根 一城(株式会社ポテンシャライト 代表)

IT人材業界20年、ギークリー創業を経て現職。個人として通算4,200名のキャリア面談を実施してきた経験に基づき監修しています。本文中の年収・難易度等は独自ガイドの目安値であり、個人の経験・企業により変動します。

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